エントリー - kinema

第14回『陸軍前橋飛行場』

今の日本からはかっての悲惨な戦争を身をもって味わった人達が次々にこの世を去りつつある。 昭和20年敗色日本の焦りから群馬県前橋に特攻目的の飛行場が出来た。 この映画は当時10代はじめの少年少女、今は80をとっくに越えたお […]

第13回『ルージュの手紙』

「ルージュの手紙」(2017、仏)。 今年74才になるというカトリーヌ・ドヌーブの恐ろしいまでの存在感! 何十年ぶりかに目の前に現れた血のつながらない母親は娘との同居を望む。 長い間ひとりで助産婦として生きて来た生真面目 […]

第12回 『倫敦から来た男』

前々から気になっていたがやっと観た。今どきなかなか観ることがない傑作だ。 ハンガリーの鬼才タラ・ベールは徹底的に説明を拒否する。 モノクロームの光と影。金をめぐる殺人事件だがその全容は最後の最後まで分からない。 監督はわ […]

第11回 『クイーン』/『紐育の天使』

前々から気になっていたヘレン・ミレン主演の「クイーン」を見た。 面白かった。 ダイアナ妃の死という生々しい時間軸の渦中のドラマだが見終わった後の味わいは意外にさっぱり。 王室ものというしばりの距離の取り方が製作側が絶妙な […]

第10回 『カレーライスを一から作る』

心に深い示唆を与えてくれる映画に出会った。 「カレーライスを一から作る」。 文字通り米からスパイス類、人参玉ねぎジャガイモ、お皿まで。極めつけは肉! 烏骨鶏、ほろほろ鳥まで幼鳥の頃から育て上げる。「食肉」として。 畑を耕 […]

第9回 『ふたりの桃源郷』と『福島 生きものの記録』シリーズ4 〜生命〜

ポレポレ東中野は素晴らしいドキュメンタリー映画を上映するミニシアターだ。 ここでまた心に訴えかけてくる秀作に出会った。 「ふたりの桃源郷」山口県岩国市の山奥で暮らす老夫婦の25年のドキュメンタリー。 仲の良い老夫婦の淡々 […]

第8回 イタリア映画『緑はよみがえる』

硬いブロンズを鑿で刻み込んだような。いままでに観たことがない戦争映画。 詩的にして先鋭。塹壕に閉じ込めらた兵士たちは目の前を走り抜ける兎にくっきりと立つ落葉松に心を寄せる。 その美しい月明かりの雪原。 「木靴の樹」の名匠 […]

第7回『海峡を越えた野球少年』

胸が温かくなるドキュメンタリー映画を見た。 在日高校野球の選手達が母国に招かれて試合をする。 1982年の代表チームの選手達の今を訪ねるドキュメンタリー。 日本では朝鮮籍を隠し好きな野球が出来る事に喜びを感じて訪れた「母 […]

第6回『名もなく貧しく美しく』

昭和22年(1947)生まれの僕にはこの映画の世界がよく分かる。 僕の同級生にもお弁当を持って来られないのがいたし、酔って暴れるおじさんがいた。 あの頃どこの家の庭にもダリアとひまわりの花が咲いていた。 引揚者住宅という […]

第5回 『ブリッジ・オブ・スパイ』

良い映画は冒頭の30秒でわしづかみにされる。正にこの映画がそうだ。 汚い小部屋。遠く街のノイズ。古本屋が似合う中年男のアップ。 鏡に映して自画像を描いている。突然響き渡る激しい足音とノック。逮捕される男。 男はソ連のスパ […]