冷泉さんとは、僕が27歳くらいの時に出会ったので‥当時、冷泉さんは50歳を越えたくらいだったと思います。
ピリピリしていて、稽古場でみんなよく怒られました。女のコなんかは泣いちゃって、そんな泣いてる子を相手に稽古をさせられた日には「泣くんじゃねえ!」「泣いてませんっ」「じゃあやってみろ!」なんて涙も拭わずやる訳で、僕は「あの‥鼻水とか出てますし‥」と思いながらも、火の粉を被るのは嫌なので、より真面目な顔をして相手役をやったものです。
そんな稽古の後、冷泉さんには色んな所に連れて行って貰いました。
なかでも、銭湯にはよく行きました。今でも冷泉さんのお尻は思い出せるくらいよく行きました。
銭湯での服の脱ぎ方で大体その人間が判ると言っていたので、スパーっと脱ぐと、脱いだものは散らかすな!と注意され、中に入れば、まず身体を流せ!頭を洗うと、泡を飛ばすな!湯船にはそっと入れ、脱衣場には拭いてから行け、扇風機の前に立つな、とよく 叱られました。
それからも事あるごとに、銭湯に行きました。回数を重ねる毎に僕も銭湯マイスターになっていき、「たまには背中くらい流せ」と言われて背中を流し、お返しに流して貰ったりする位にまでなりました。
風呂上りに、瓶の珈琲牛乳を一緒に飲んだり(もちろん冷泉さんに買って貰って)、
時には、瓶のラムネだったり(買って貰って)、
ソーダー水だったり(買って貰って)‥‥美味しかったなぁ。
ああ、銭湯にひさびさに行きたくなりました。
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