ゴールデン街「Barブラン」。
冷泉さんとの会話でよく出てきた名前。
課題の作文が返却されたときだったのか。
用紙の裏に店名をメモしていた。
4月14日、新宿ゴールデン街に寄り道。
入口の地図を見ずに、適当に歩きすぐに「Barブラン」を見つけた。
ただ時間が早すぎた せいか、まだ開いていないようだったので、時間潰しに周辺を散歩。
すると、もう一軒「Barブラン」に似た店を発見。
店名は「ブラン別館」。姉妹店なのかな…。
携帯で、「ブラン別館」を検索した。
すると、お店のTwitterが目に入る。
別館ママ19時半オープン予定です。
ラッキーだ。つまり、今目の前にあるお店に、冷泉さんを知っているママさんがいるかも しれない。
僕は、お店の扉を開けた。
そこには一人の女性。
「すいません、ここは会員制で」 「あ、すいません。そうだったんですね。
あの冷泉公裕って、ご存じないですか」
え?とその女性は、不思議そうな表情をして
ちょっとおいでと言って、手招きをした。
僕は、「ブラン別館」のカウンターに座った。
そこで、僕は詳細を話した。
最後のレッスン生であること。
冷泉さんが通っていたお店を巡っていること。
それから、冷泉さんとのエピソード。
今日着ている服のこと。(冷泉さんが着ていたコート)
「Barブラン」のママ、きわさんは、
僕の話を一通り聞くと、優しく微笑んだ。
そして時折、切ない顔をする。
ハイボールと日本酒。
二人で、冷泉さんに乾杯をした。
そして、次は僕がきわさんに話を聞いた。
いろんな思い出が返ってきた。
【初対面】
紹介でやってきた冷泉さん。たまたま隣にいた客に、セブンのフクシン君と気付かれて、 あぁ、その話はいいよとあしらっていた。
【ある曲の秘話】
店で曲を流して、お酒に例える遊びをしていて、
きわさんのアイデアで、「靴が一足あったなら」はサザンカンフォートに。冷泉さんは気 に入っていた。
【雑談】
銀座のルパンにて、きわこがさ、きわこがさと太地喜和子の話を嬉しそうにしていた。
また浅草にある赤垣という居酒屋が好きで、そこの大将を男前って言っていた。
【ライヴポスター】
冷泉さんと黒田征太郎さんのライヴの時に、購入したポスターを見せてもらった。
すごく不思議なことは、僕が冷泉さんを巡る旅をしているところには、必ず黒田さんの絵がある。
店内に流れる、冷泉さんの歌を聴きながら、
最初聴いた時は、歌が下手だと思ったよ。
でも今はスイッチが入って、いつの間にか、泣いちゃうようになったのよねと、きわさん は言った。
そして続けて、旅の帰りには、お土産などをくれてね。
レースのハンカチなんかは未だに使わず置いてあるかな。本当に、心地よい距離感の人 だった。
ママの熱い気持ちがまっすぐに伝わった。
楽しかった話を聞くと、嬉しくなるだけじゃなくて、 少し寂しくなる。
僕もぐっと気持ちをこらえた。
このあと、どうするの?ときわさんに聞かれ、
ぜひ、南海(なみ)にも行ってみてよ。 そこも、冷泉さんが一人で通っていたところだから。
そのお店の前まで送ってもらい、僕はまた新しい扉を開けて、南海さんに自己紹介をした。
南海での話。
そして僕はこの後、冷泉さんの行きつけだったBarかくれんぼに寄り道を続 ける。
その話は、また今度。
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