キネマの天地 冷泉のおすすめ映画
ラ・ピュタ阿佐ヶ谷に団る令子特集を見に行った。
1964年東宝作品「裸の重役」。
団令子は勿論好きな女優だが
実はこの映画の監督が千葉泰樹だからだ。
千葉泰樹監督といってすぐ分かる人はよっぽどの日本映画通だ。
小津、黒澤、成瀬といった有名監督の影にいるが
実に素晴らしい職人監督の一人だ。
「下町」という一時間弱のSPものを見た時の衝撃。
わずか46分の「鬼火」もそうだった。
この2本を見てこれからは千葉泰樹は外せない絶対に見続けると決めたものだ。
「裸の重役」主演は森繁。
サラリーマンものだが後期の喜劇チックなものでない。
源氏鶏太の原作タイトル「東京一淋しい男」通りの
アイロニーにあふれた森繁の演技が素晴らしい。
団令子は生活の為に体を売る若い娘だが、仕事に疲れた中年男の森繁の癒しの存在。
団令子といえば跳ねっ返りの現代っ子といったイメージだが
この作品ではその中にもしっとりした女性像を見せやわらかな母性までうかがわせてくれる。
殺人も声高な言い争いも涙もないが見ていると
胸が熱くなり目尻に涙が浮いてきた。
森繁。鬼部長のしたのうだつが上がらない定年間近の
宮口精二同じくダメ社員が若き日の児玉清。
千葉作品は残念ながらソフトは出ていないので
是非映画館で見ることをおすすめします。
近く京橋のフィルムセンターで5月10日と23日に名作「下町」が2本立てで見られますよ。
なを僕が名前を見たら必ずという監督は
千葉泰樹監督と清水宏、久松静児、山本嘉次郎。
成瀬巳喜男は割と見られるからまぁいいか。
「裸の重役」 いい映画です。
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