俳優の心得(たぶん)冷泉さんが言ってました

冷泉さん、語る。【中編】

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約 4 分

冷泉さん(を)、語る。

冷泉「面白く書きたいんだよね、木原は。」

この言葉は、私がワークスタジオに通って一年半ほどたったころに書いた作文に添えられていた、冷泉さんのひとこと。

作文は週一回のレッスン時に出すのだが、小器用な私は回を重ねるごとに手癖でこなすような作文を書くようになっていた。

新しく入ってきた若者が強い筆圧でごりごりと書いた無骨で読みづらくも熱い作文を提出するのを横目に、省エネでそれなりに面白く整理された(と当時は思っていた)文章を、パソコンのキーボードをタンタカターンと打って量産した。

するといつからか、60〜125点という大きな振り幅でついていた点数が、ある程度の点はもらいつつも100点の壁をなかなか越えられない…といったことが続いた。

そんな矢先のこの言葉に、自分の浅はかさを見透かされた気がして全身の血が顔面にぶわっ!と一瞬で集まってきたのを今も覚えている。

思えば、これが冷泉さんが前編でも言っていた、だめな『らしさ』だったんだと思う。

『面白い文章をかく』のが『私らしい』のだと思って、そういうルーティンを固めて、そこが目的で着地点になってしまっていたんだなぁ。

その後、私は固めすぎた『私らしさ』をほぐすべく、らしくない文章をごりごりと書いた。これまで苦手で避けていた恋愛についての話などを、梅干し食べた時みたいな顔して唸りながら書いた。そんな私らしくない作文は「木原の作文のNo.1でしょう!!good!」と書かれて返ってきた。

あるとき冷泉さんに「だいぶ緩んだよ」と言われ、確かに前より肩の力が抜けているのに気づいた。

『私らしい』から、ただの私になれたのかもしれない。

さて、「冷泉さん、語る。」
中編は『固めない』ことについてのお話です。

『固める』という言葉を辞書で引くと“外部から影響されないように固く守る”(例:国境・陣営)とあります。

では固めない、つまり緩めるとは、守らない、ガードしないということでしょうか。

冷泉さんは緩めるのが得意でした。記事中の写真も、リラックスして撮られることに構えていない。慌てて袖捲りを戻したり、顔に粉をはたいたりもしない。(ちなみに身体も柔らかく、開脚前屈でお腹が床にべたーっとついていました。)

この、ゆったりとした居住まいに至るには?
前置きが長くなりましたが、いよいよ本編です。

開脚前屈がテディベア座りで止まる瀬戸さん(※1)が撮影した写真とともに、じっくりお楽しみください。


瀬戸 寛
(※1)前編の記事を読んで木原にわざわざ「じょうずにイジってくれて有難う。感謝感激雨あられや〜」とゆるゆるなメールをくれた、体は硬いが心は柔らかい大先輩。

冷泉さん、語る。【中編】

前編

冷泉公裕「考えていると、相手とやらなくなる。」

“こうしなくちゃいけない”とか、
“こういう風に見えるだろう”とか、

計算で持ってくると、
つまんない物になっちゃう。

割と経験のない人の方が
ビギナーズラックで面白いものもある。
ただビギナーズラックは一回キリで、
二度三度作り直すと固まっていく。

ゲームを含めて、固めないで
もともと持っている発想みたいなもの、
直感みたいなものを大事にする。

後は相手と会話を丁寧に、正確にする。

“自分の役をやろう”とばっかり考えていると
相手とやらなくなる。
すると、会話じゃなくなる。

芝居の基本は会話だから、
場所があって、人が二人いれば芝居になる。
会話をどうしていくかってこと。

それを台本で、会話って言うと、
役をやることで会話になるんじゃなくて、
役と役じゃなく、役者と役者が話すことを
なるべく丁寧にやっていく

すると、実は最終的に役と役が
会話している事になっているはずだ、と。

(後編につづきます)

About The Author

FMG所属俳優・学芸人木原 陽子
鯖と餃子と猫が好き。夢はなぎら健壱さんになる事。

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劇団文学座に29年間在籍。舞台、映画、ドラマのバイプレイヤーとしての存在感とともに、俳優業と並行して続けたライブ活動における歌手冷泉のファンもたくさん存在していた。三枚のCDアルバムを発表。FMGワークスタジオのコーチとして新人を指導し、FMG公演では演出も手がけた。

FMGワークスタジオ

1999年FMGの新人育成を目的に冷泉公裕のコーチによる、俳優など表現者に必要な基礎を学ぶスタジオとして設立。しなやかな肉体、豊かな声作りに重点を置き、文学座の特徴であるリアルな演技表現を大事にした。レッスン生のひとりひとりの個性を見きわめ、持ち味を魅力的に引き出す指導だった。
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俳優・学芸人
1984年。神奈川県生まれ。2013年よりfmgワークスタジオ参加。2015年より北斎を楽しく学べる芸人[学芸人]葛飾ふとめ・ぎょろめのふとめとして墨田区を中心に活動中。三度の飯より甘味好き。趣味、食べ歩き。‬憧れの女優は浦辺粂子、塩沢とき、杉村春子。
葛飾ふとめ・ぎょろめ公式サイト
http://kitachan.jp/futogyoro/
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俳優・文筆家
平成7(1995)年、長野県長野市に生まれる。8歳から野球を始め、高校まで続ける。平成30(2018)年、慶應義塾大学文学部を卒業。在学中に映画、舞台に興味を持ち、卒業論文の表題は「ヒッチコック映画における階段シーンのサスペンス性」。2017年4月からワークスタジオ参加。現在はお芝居はもちろん、文章表現にも関心を持って、エッセイや短編小説なども執筆中。
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1993年、石川県生まれ。東京育ち。日本大学生物資源科学部を卒業後、同大学院に進学。大学院在学中にバングラデシュにてファストファッションにおける生産の実態について研究。この経験から、ファッションに重要なことは、明確な意見や主義を持つことではないか。 それを「ファッション・プリンシプル」と定義し、トークライブなどを開催。 2018年からは、いしかわ観光特使に就任。 趣味は、旅と靴磨き。好きな食べ物は、いなりずし。
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俳優
1979年、東京生まれ。 代表作に、映画『踊る大捜査線 THE FINAL 新たなる希望』、『遺体 明日への十日間』、TBS系月曜ゴールデン『狩矢警部シリーズ』、BSフジ『警視庁捜査資料管理室』など。 読書家としても知られ、書評・映画評にもファンが多い。電子書籍文芸誌に連載したエッセイが単行本化されている。「小橋めぐみの本のめぐみ」
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1972年、兵庫県出身。2000年、現代制作舎30周年記念FMG提携公演『リメイン』をきっかけに、FMGに所属。冷泉チルドレンの古株としてワークスタジオを引っ張り、沢山の後輩に慕われる。美容師免許も持つ料理上手な一児のパパ。現在は子育てにも奮闘中!